2021年12月4日、茨城県つくば市ノバホールで行われた、
『ダニエル・ハリトーノフ ピアノリサイタル2021
~ドイツ・ピアニズムの巨匠 ロマン派3つのソナタ~』
に行ってきたので、感想を綴ります。
ダニエル・ハリトーノフさん
ロシア生まれ。2015年チャイコフスキー国際コンクール三位入賞。
プログラムは下記の通り。
ベートーヴェン ピアノソナタ第8番 大ソナタ悲愴 ハ短調 作品13
ベートーヴェン ピアノソナタ第17番 テンペスト ニ短調 作品31-2
ブラームス 2つのラプソディ 作品79
ブラームス ピアノソナタ第1番 ハ長調 作品1
(表記はプログラムより引用)
ステージに登場したハリトーノフさん、190cmを超える長身ときいていましたが、実際に目にするとグランドピアノに負けない大柄さ!
笑顔で手を太ももに置いて丁寧にお辞儀する姿は好感度大。
ベートーヴェン 悲愴
最初のフレーズで鳥肌!
音の圧がバーンと押し寄せてきました。
音楽家によって世界が作られる大好きな瞬間を味わうことができて、やっぱり生演奏はいい!と感涙。
しばらくすると違和感を感じる場面が。
フォルティッシモ、アクションは大きくないのに芯のある力強い音が伝わってくるのです。
ビジュアルと、そこから抱く音の予想との間に差があるという、不思議な感覚でした。
悲愴といえば第2楽章のメロディが有名ですよね。
実はあまり好きではありません。
というのも、小学校の頃の給食の時間にかかっていて、食べるのが遅くて給食が苦手だった私にとって、曲までも苦手になってしまったのです。
しかも、ベートーヴェンのピアノ曲の緩徐楽章って下手するとつまらないおけいこ曲っぽく聞こえて危険じゃないですか?
それがまあ!ベートーヴェンの優しさが伝わってくる素敵な2楽章を聴かせていただきました。
ベートーヴェン テンペスト
テンポが変わったり、雰囲気が変わったり、難曲ですよね。
彼のテンペスト、音の豊かさに圧倒されました。
第3楽章の力強さと疾走感にしびれました!
スタッカートの歯切れのよさ、
跳躍高音のアクセントが当たる気持ちよさ、
名曲を天才の腕で聴ける期待感を存分に味わうことができました。
ブラームス 2つのラプソディ
楽しみにしていたブラームス。
ブラームス似合うだろうなと思っていたらやはり。
重さのある渋い和音がたまりませんでした。
実はブラームスのピアノ曲はほとんど聞いたことがなく、今回のリサイタルのために予習したのです。
……あれ、好き。
そういえばピアノ協奏曲は大好きなのでした。1番も2番も。
こうしてコンサートをきっかけに好きな曲が増えていくのは、コンサートの楽しみの一つです。
ブラームス ピアノソナタ第1番
これまた最初のフレーズで気持ちをぐぐっとつかまれました。
和音の重さが凄まじい!
身体全体の体重をかけたような、ずっしりした音。
ブラームス~っ!って感じにもだえました。
ブラームスのピアノ曲って、ソナタも協奏曲も、音符が多くてハイカロリーな難曲という印象です。
それを弾き切る体力と集中力が本当にすごかった。
天才の質量とエネルギッシュさを存分に感じることができました。
アンコール
重音ガンガンのテクニカルな小曲。
大きな身体で、大きなスタインウェイのグランドピアノ全体を鳴らすのです!
ピアノってこんなに大きな音が出るんだー!と驚いていたら、ラストさらにその上をいったという。
もはや驚愕!!
お客さんも大喝采でした!
はて、誰の曲だろう?リスト?ラフマニノフ ?現代作曲家?と思っていたら、なんと自作曲!

自分のテクニックに自信があってこその超絶技巧曲!痺れる!
やっぱりホールで音楽にどっぷり浸かるのは至福の時間ですね。
早く状況が落ち着き、以前のようにコンサートがどんどん開催されるようになってほしいと思います。
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